更年期障害

 今回はお母さんたちから要望を受けたテーマです。

 『更年期障害』の定義は、調べた限りでは、特にこれといったものはありませんでした。大塚敬節先生の著書の『漢方診療医典』に詳しく載っていたので参考にしました。

 女性の月経が停止する45歳前後になると、卵巣の機能が衰えてきて、各諸臓器との協調関係が崩れて、血管神経性変化や、精神的な変化が起こってきます。その結果、全身のいろいろな場所に不都合が起こり、種々の苦痛を感じるようになります。これを更年期障害と言っています。

 漢方で言う『血の道症』は、もっと範囲が広いそうです。『血の道』は、婦人にのみ起こる病態で、婦人特有の生理的現象である、月経、妊娠、出産、産後、更年期、等の本来の生理活動現象や、流産、人工妊娠中絶、避妊手術等の異常生理現象によって発病し、特に種々の検査をしても異状を認めないもので、全て精神神経症状であるのが特徴です。年齢にはあまり関係がないそうです。

 大学病院などに行って、「異常はありません。気のせいでしょう」とか、「精神的なものですよ」などといわれ、精神安定剤等を処方される場合が多いと思います。我々の体は機械ではありませんので、種々なストレスに出合うと、『交感神経』と『副交感神経』とのバランスが狂ってしまいます。

 顔面の紅潮、のぼせ、手足がほてる、発汗してすぐに寒くなる、心悸亢進、動悸、息切れ、心臓部圧迫感、めまい、耳鳴り、血圧の動揺、神経過敏、興奮しやすくなり、ヒステリック、憂鬱、忘れっぽく、注意散漫、疲れやすい、やる気が起こらない、などを訴えて来られます。一応検査をします。何故ならば上記のような訴えで、『クモ膜下出血』『狭心症』『突発性難聴』『慢性疲労症候群』『脳腫瘍』『肝炎』等の初期の場合があるからです。

 治療について:

1:化学的治療方法: リーゼ[5_c]、ワイパックス、ドグマチール、等の軽い安定剤を用いる。不眠には、デパス[5_c]などを用る。

2:漢方治療:
@桂枝茯令丸[けいしぶくりょうがん]:両下腹部[特に右]に圧痛点があり、元気のよい人に用います。
A当帰芍薬散[とうきしゃくやくさん]:虚証の人で、貧血気味で足腰の冷える人や、疲れやすく、めまい、耳なり、動悸、腹痛を訴える人に良い。
B加味逍遥散[かみしょうようさん]:独特の不定愁訴、イライラ、食欲不振、不眠頭重感、顔面紅潮等、女性の病気の第一選択薬です。
C女神散[にょしんさん]、四物湯加減方[しもつとうかげんほう]、黄連解毒湯[おうれんげどくとう]、温清飲[うんせいいん]、抑肝散加陳皮半夏[よくかんさんかちんぴはんげ]、半夏白朮天麻湯[はんげびゃくじゅつてんまとう]、半夏厚朴湯[はんげこうぼくとう]、甘麦大棗湯[かんばくだいそうとう]、等数多くの方剤があります。

 患者さんと話し合って、一番あった漢方薬を投与します。要は信頼です。



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