先生、薬を整理してください。
先日、おばあちゃんから言われて、飲んでいる薬を皆もって来てもらったら、あまりにも同じ効果の同じような薬をいっぱい飲んでいました。
一般に言う『薬漬け』は確かにありました。田村医院から5種類、整形外科から3種類、眼科から3種類、皮膚科から3種類と、合計何と14種類もの薬を飲んでいました。
あるおばあちゃんの場合には、
『先生肝臓の注射をしてください。だるくてしょうがないの』
『どれどれ腕を見せてご覧。あれ!この生々しい注射の跡は!おばあちゃんほかの医院でも注射してもらってるんじゃないの?』
『肝炎で疲れたって言ったら色々な医院でも、大学病院でも注射してもらった』
『両手とも穴だらけだから、もう家じゃやれないよ』
『先生の意地悪!』
ってな会話が実際にあるのです。
この場合の注射薬は、何回やっても問題無い『強力ネオミノファーゲンC[強肝解毒作用と肝庇護作用]』と言う注射薬ですが・・・。大学病院ではもう、この薬の500ccの点滴が実際の治療に用いられています。が、しかし多くの医療機関で注射を受ける事自体がナンセンスだと思ったのでお断りをしました。
このような薬漬け医療について冷静に考えてみると、医療者側だけの問題ではなくて、医療を受ける側にもかなりの比重で問題がると思います。
1:現在の医療体系と昔の医療体系との原点自体が大きく異なっているためかも知れません。元々日本の医療の起原は室町時代にまでさかのぼります。その当時は、草木で病気を治しました。その医療の担い手は、僧侶が行っていました。文献に乗っている限りでは、『古河の三喜』と呼ばれていた僧侶である、田代三喜と言う人が漢方医療を中国から伝承して実践されたと言われています。
それ以後江戸時代を通じて、現物支給と言って、『薬を出すか、注射をするとか、マッサージをするとか、電気を当てるとか、等』というサービスに対しての対価として国家から後で医療費が支払われる様な仕組みが出来ています。
2:一方設計とか、話を聞く、著作権等のソフトに対しての対価は支払う様な風習はありません。診断、製作設計ノウハウ、ソフトにもう少し費用を払った方が良いと思います。
3:また患者さん側から言うと、どうも他医で薬をもらっているということを医療者側になかなか素直に言いにくい面があるという現実です。もっとフランクな患者さんと医者の関係が大切になって来ます。でも、あまりなれなれしいのも問題です。この辺の距離をどう置くかが難しいのです。『お互いが思いやっていくこと』が重要になります。
4:厚生省の医療費の算定自体がおかしいと思います。薬を出さないと医療機関がその差益がないような仕組みになっています。技術料金は大変に低くなっています。例えば採血一つ取って見てももう信じられない位の技術料です。地域医療者即ち『家庭医』が、もっと誇りをもって医療ができるような方法を考えねばなりません。
5:薬を全体的にコントロールする医療機関が必要になって来ます。これが常に言っている、『家庭医』なのです。技術料金を高くして、各科が技術を競い、薬については『各家庭医』がコントロールすれば良いと思いますし、『家庭調剤薬局』も協力して相互にコントロールしていく方が良いと思います。
其の為には、我々医療サイドも日々の研究学習が必要になって来ます。良い悪いは別として『薬漬け医療』は残念ながらあるのが現実です。