ライ症候群について

田村医院 田村 仁


5歳9カ月の女の子の『ライ[Reye]症候群』の報告があったので、『予防接種』や、『消炎解熱剤』との関係を含めて一言報告します。

平成6年2月9日早朝より、39度以上の発熱がありました。午前中に医療機関にて診察を受けて、抗生剤とメフェナム酸と言う消炎解熱剤の投与を受けました。午後6時頃より意識が段々なくなり、うわ言など言うようになったので救急外来を受診。直ちに入院となり治療が開始されました。原因の検索において、第二病日と26病日の血液が検討されました。その結果種々なウイルスの抗体価を調べて、『A型インフルエンザウイルス:
H1N1』の抗体価が1024倍になっていたために、『A型インフルエンザウイルス
[H1N1]』による、『ライ症候群』であるとの結論になった。幸いなことにこの女の子は一命をとりとめました。しかし一般には予後は不良とされています。ここでいくつかの問題があるのでそれぞれに分けて考えて見ましょう。

1:ライ症候群:1963年Reye、Morgan、Baralによって、発表された。小児急性脳症で、原因については、ウイルス感染によって、脳や肝臓のミトコンドリアが障害を受けることによって起こると考えられている。米国に於ける疫学調査では、インフルエンザウイルス、水痘ウイルス、アスピリンとの関連性が示唆されている。初発症状は、風邪症候群や水痘に続いての、嘔吐、意識障害などの自家中毒症状で発症します。40%以上の死亡率の高い病気です。治療は脳浮腫の治療が優先します。

2:予防注射:今回の症例では、A型インフルエンザウイルス[H1N1]の血清抗体価が上昇していました。昨年度に行われている予防注射には、このH1N1の株は、入っていました。従って予防注射をしている子供には罹らないか、もし罹っても軽くて済むものと考えられました。予防が大切です。水痘に罹ってもこのライ症候群になる事がありますので、予防注射が必要になって来ます。予防注射はするほうも嫌で、されるほうも嫌なものですが、事病気の予防には大変に大切なことだと思います。インフルエンザ予防接種に関して言うと、経鼻ワクチンの開発がとっくにされていますのでもう間もなく発売になります。

3:アスピリンとの関係:アスピリンは、アセチルサリチル酸の事で、米国ではスーパーでバンバン売っています。風邪かなと思ったら直ぐにアスピリンを飲む習慣になっています。従ってこの『ライ症候群』に罹った小児のほとんどが、アスピリンを内服していました。アスピリンは、脳や肝臓のミトコンドリア毒に働くのではないかと研究されていますが、まだはっきりとした因果関係については研究成果が上がっていませんが、疑わしきものは使わない方がよいので、アンヒバ座薬[アセトアミノフェン]等を使います。又は
スルピリンを使います。

4:このように単なる『風邪症候群』でさえ、命取りになる様な疾患があり得ますので、医師の診断無しに、子供達にいっぱい、市販のシロップ剤を飲ませることに、多いなる疑問が残ります。売らんが為に、モデルや俳優を使い、さも効くようにテレビで宣伝をして、お菓子でもあるまいに馬鹿な事を行っている製薬メーカーに憤りを感じます。今回終。



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